鳩山内閣の退陣をうけて、慌ただしく発足した菅内閣の支持率が60%超だという。民主党の支持率も大幅に上がっているようだ。もう、ただただ鳩山・小沢体制がいやだっただけなのだろうか。中身=掲げる政策は寸分たりとも変わってはいないのに、である。
普天間基地の「最低でも県外」への移設は完全に反故になり、沖縄県内たらい回しを事実上決めた。廃止を約束していた障害者自立支援法は、自公と一緒になって事実上延命させた。後期高齢者医療制度の廃止も労働者派遣法の改正も最低賃金の引き上げも先送り。財源確保のための事業仕分けも、肝心なところにふみこまないから、パフォーマンスの割には捻出される額が少なくなった。
なのに、鳩山内閣に比べ支持率はV字回復だ。まるで政策などどうでもいいかのような支持率の「数字」である。
そんな支持率の回復を見越してか、菅内閣からは、法人税減税とセットになった消費税増税への言及が公然となされるようになった。「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」のために不可欠だと言わんばかりだ。
小沢氏は「起訴相当」 検察審査会が議決:社会(TOKYO Web) 2010. 4.27 from 東京新聞(魚拓)
正直なところ、「起訴相当」でも「法的に問題なし」でもどうでもいいと思っている。むしろ問題は別の所にあると思っている。
それは民主主義のあり方という点について。
例えば、小沢氏が地元岩手で作り上げているとされる「支配の構造」が、いわゆる民主主義における民意の反映のプロセスに何らかの影響を与えていないか、という点を気にしてる。
つまり「たしかに現行法の範囲では法的に問題ないお金かも、でもそのお金でいったい何してるの?」ということだ。そういう観点から、今回の件にかかわらず、自らの政治資金のことについて、小沢氏にはもっと説明する責任はあると思っている。
検察については、どうのこうとと思うところはあるが、それはまた別の話にて。
個人的には、これほどまでに盛り上がらなかった総選挙もめったにない。民主党が勝つのは、それを仕掛けた側の既定路線上の出来事でしかなく、多少国民生活寄りに政策(公約)をシフトさせたとはいえ、本質的には差のない2大保守政党間での政権のキャッチボールにしか見えないからだ。
とはいえ、一方で、変えることが出来る、変えても良いのだという「民主主義の経験値」を上げることも出来たのだから、それはそれで評価したいと思う。小選挙区制で民意が必要以上に増幅されていることは、あえて横に置いて、だが。
多くの人々が、選挙によって起きた変化が、具体的にどう起こるのかをこれから体験することになる。善し悪しは別にして、その経験は貴重なものになると思っている。かつてのウクライナの政変にかこつけて、「民主主義の経験値」なんてことを言いつのっている者としては、この経験がどうこの国で共有されていくのか、その行き先に興味がある。
参院選終盤の情勢がほぼ出揃い、異口同音に民主の圧倒的優勢、自民大苦戦と伝えられている。「空気を読む」ことに長けたこの国の国民にとって、安倍内閣の「空気を読めない」振る舞いはあまりに違和感を覚えるものなのだろう。
さんざんに負担増を押し付けておいて、スローガンが「美しい国」「創り上げたい日本がある」(だったかな?)である。「美しい」という言葉の意味が、受け取る人の価値観によってそれぞれ異なることを想像すらできない、独りよがりのものであることすら気づかない人物が首相では、こうなることは火を見るより明らかだろう。だぶん、こんなどうしようもない政権は早く降りてくれという「空気」、この流れはもう変わるまい。
で、そういう情勢を受けて考えるのは、自民党に代わる勢力として果たして民主党が妥当なのかということだが、これはもう違うと考えるしかない。それはなぜか。
2004年の参院選でも民主党は大勝したが、それでいったい何が変わったのか、ということを思い起こせば十分だろう。対案路線とか言って大した「対決」もせずに腰砕けとなり、2005年の総選挙で自民に圧勝を許し、自公政権にいいように振る舞える力を与えてしまったのが、今日の惨状を招いた要因のひとつともいえよう。国民投票法案の採決過程ひとつをとってみてもわかるように、最大野党が与党にまったく対決しきれないから、昨今の情勢に変化を起こしえないと考えるのは当然だと思うがどうだろう。
浅野氏が正式出馬表明 都知事選、石原氏と対決色 from 東京新聞 2007. 3. 6
2007年3月6日 出馬表明をいたしました(出馬表明に当たって=PDF/203KB) from 浅野史郎夢らいん 2007. 3. 6
ついに浅野史郎氏が正式出馬表明。これで主な候補が出揃った形になった。
一通り浅野氏の政策を読む。骨子ということもあって、内容はいたってシンプル。書かれてある政策について、個別には違和感のない政策もあるが、個人的にすでに支持することを決めている吉田万三候補の政策(吉田万三の「都政改革プラン」)の具体的かつ的確(と私は評価している)な内容と比較すると、上手くはいえないが大事なコアの部分で何か足りないと感じる。出馬に前向きになってから正式の出馬表明まで間がなかったという事情もあろうが、その点についてはおそらくこれから出るであろうより具体的な政策を見るしかないだろう。
実際、8年にわたる石原都政のおかげで、東京が抱えてしまった問題は実に多岐にわたる。問われているのはそういう都政をどのように転換するかだ。吉田万三氏の政策が膨大になっているのは、その反映であろう。吉田氏の提案する政策のように、抜本的・根本的に都政の政策の方向を変え、社会的弱者(子供や高齢者、低所得者など)が安定した生活を送れるような政治にしていかなければならない。その方向が具体的かつ明瞭に示されていると考えているので、私は吉田万三氏を支持する。
そして自分が王様と勘違いでもしているかのような石原知事の振る舞いは、いい加減目に余るものがある。なんとしても都知事は変えなくてはならない。
その点で、私がどうしても気になるのは、今回の都知事選に対する浅野氏陣営の「本気」度である。