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【ビラ配布有罪】こういう理由での結論なら、裁判所は自らの存在意義を否定することにならないか

ビラ配布 有罪確定へ 『表現の自由に限度』 from 東京新聞 2009.11.30

 立川の反戦ビラ配布に続き、ビラ配布が有罪となることが確定した。報道を見る限り、今回の判決は「入っちゃダメと書いてあるところに入ったから有罪」という、ほとんど形式的な判断しかなされていないようだ。まあ、配布されるものの内容に踏み込めば、より難しい判断を迫られるだろうから、それを回避したということなのだろう。しかし、それでも、このビラ配布によって誰にどれだけの実害が出たのかの認定が実質的になされないまま有罪とされるのは、やはりどう考えてもおかしいと言わざるを得ない。不安神経症的な世相をそのまま後追いしたような判断は、最高裁が、自らの存在意義に、自ら疑問符をつける形となった。

 そんなどうしようもない判断をした4人の最高裁判事はさておき、この事件に対する反応は、民主主義をどれだけ理解/大事にしているかのバロメーターとなりうるだろう。こんな、裁判所などいらないと思わせるような形式的な判断を「その通り」と思っているなら、そういう人は、自らは民主主義の恩恵を受けているにもかかわらず、民主主義を理解していないし大事にしていないと判断して差し支えないだろう。こんな形式的な有罪判断と引き替えに、民主主義の重要な要素である意見表明の機会に制限を加えてよいという立場なのだから。

 いまの世相のどうしようもない一面を見せつけられた思いだ。