香田さんの殺害、無念としか言い様がありません。合掌。
他者から強制されない、自発的意志に基づく行為というものには、何らかの「自分探し」的要素が入るものと考えています。だから香田さんの行為が「自分探し」だったかどうかというのは重要ではないと思います。
大事なのは香田さんがどういう意志・目的を持っていたかということ。だから、当初流された「まるで観光」「ただの自分探し」が本当なのか、もっと違うことを考えていなかったのか、ということが私は気になったのです。アンマンで香田さんと会ったという四ノ宮氏の話は信用できるかどうかを問うならば、一報以後の報道内容も信用できるかどうかを問わなければなりますまい。なのに、最初の一報で「日本人の若者が何も考えずにイラクに行ってつかまった。馬鹿なヤツ」と受け取る人が多かった。本当にそうなのか、と思っていろいろな報道を見ていたら、東京新聞や毎日、西日本で、ただ単に行っただけじゃなさそうという報道があった。特に、香田さんが捕まる直前に会っていた四ノ宮氏の話(東京新聞)は、当初のテレビで流れていた同氏のコメントとは180度違う内容だったから、これは注目に値すると思いました。
四ノ宮氏のコメントを最初に見たのはテレビのインタビューで、「危険だからやめろと止めたのに、彼は『何とかなりますよ』と行ってしまった」ような内容が流されていました。「イラクで捕まった」との一報のあとにこのコメントが付けば、誰だって「なんて大馬鹿なんだ」と思ってしまうでしょう。私もそういう印象を受けました。その四ノ宮氏が今度は新聞のインタビュー記事では、テレビとはまるで違う話をしている。香田さんはいろいろな問題意識を持っていて、それゆえイラク行きを決めたらしい、と評価しており、「戦争の真実を見ようとした」と四ノ宮氏は語る。ただの観光者を見てこのような評価ができるでしょうか。
要するに、当初広まっていた「大馬鹿もの」という評価に対するカウンター情報が出てきたわけです。ならばこれも評価しなければいけないと私は考えました。特に四ノ宮氏のコメントは、テレビと新聞で内容が違うのだから、取り上げる必要があるでしょう。一方で、今のところだが「まるで観光」「ただの自分探し」という見方を補足するような友人知人なりのコメントは見ていません。そして、家族や友人知人のコメントなどとあわせて考えた結果、私はこのエントリーのような推測をとるに至りました。
私の先のエントリーには「妙な美化」と思う方もいるでしょう。でも逆に、事件発生からこれまでの報道をみて考えてみた結果として、私からは「まるで観光」「ただの自分探し」という言い分は、ただの「妙な蔑み」にしか見えないのです。
今後、香田さんの事件でどれほどの事実が明らかになってくるかわかりません。彼が本当は何をしたかったのか、正確に知ることは不可能になってしまいました。とても残念なことです。
あと、陰謀論めいたことは言いたくないのですが、香田さんが殺害されたことで一番ほっとしているのは誰なのかが気になります。事件を自衛隊撤退問題と切り離そうとしている政府? 「忠実な下僕」の離脱の心配がなくなった米英政府?
いずれにしても、香田さんに対する「まるで観光」「ただの自分探し」という「批判」は、「当人の自業自得」という印象を広め「何の関係もない民間人を殺戮するアルカイダ系武装勢力を許すな」→「ここで自衛隊を撤退したらテロに屈する」という流れを作り出し、事件発生直後にいきなり「事実上の人質見殺し発言」をした小泉首相や、詭弁を弄してイラク戦争を支持し自衛隊を「派兵」して日本人を危険にさらしている政府の「自己責任」を覆い隠す役割を果たしたと見ています。
はじめまして。
あちこちのコメントで香田さんを中傷したり、好奇心であったり、よくて批判ばかりであることを、たいへん悲しく感じていましたが、こちらで四ノ宮氏の話(東京新聞)やご意見を拝見させていただき、少しほっとしました。ありがとうございます。
前回の拉致のときにも、家族を含めて被害者を容赦なく叩く世間の風潮に恐ろしさを感じていました。
今回、香田さんにセキュリティ等に関する落ち度がもし多かったにせよ、あくまで被害者である香田さんのことを自業自得と片付けてしまう感覚に、人間として恐怖を感じていたからです。
たんなる観光、自分探しの勝手な人、という印象を強く受けざるを得ない恣意的な報道だけを頼りに、個人批判ばかり続けること。
小学校でもメディアリテラシーの授業がある昨今、報道を無条件に信じてしまう感覚は、とてもおかしいと思います。
危険地域に行って殺される日本人がいなくなったらそれでいい、ということでもなく、香田さんがおそらく心痛めていたであろう戦争というものは実在している。
自衛隊派遣で、私たちも無関係ではなくなってしまったイラクの情勢についても、深く考えなくてはいけないのだろうに、どうしてそのような議論が高まっていかないのか。
自衛隊撤退、と単純に叫ぶのではない深い議論をしていける国民になれたらいいと強く思います。
本当に難しいことなのですけど。。
香田さんの持った問題意識を、少しずつでも考えつづけていくことが、私たちのたったひとつのできることなのかなと感じています。
ご遺族の皆様に、心よりお悔やみ申し上げます。せめてしばらく静かに、休むことができますように。
体のそばに頭あったんだろ?
良かったジャン!
亡霊になって頭探さなくってさ。
ま、テロは防げないかも知れんけど、
イラクにホイホイ入っていくアホが減っていいかもな。
それが香田クンの生きた証ということで…
別に美化(それが事実であれ虚飾であれ)するのは、今で無くてもいいと思うんですけどね。
美化をして、それに呼応して何も考えてない若者が行ったとしたら、
彼が例えどんな理想を抱いてたとしても、今の情勢じゃ無駄死にしかしないんですから。
情勢が変わってから彼の名誉の為に、世間の常識に対抗言論するのは良いとは思いますが、
今の状況じゃ非難する人たちの方が、結果的にまだ命を大事にしてると思いますよ。
そりゃ、理想も大事ですけどね。
エスさん、コメントありがとうございます。
事件が発生して以降、事件の断片的な情報がいろいろ流され、拘束された人について「大馬鹿なヤツ」みたいな情報と印象が広まっていたので、そのカウンターとしてこういう情報もあるよというつもりでエントリーをあげました。だから時期の問題で言えば、今でなければいけないと考えています。
もはや不可能となってしまいましたが、もし香田さんが生還したならば、「技術としての旅行」という観点からいろいろ検証・批判はなされなければいけないとは思いますが、だからといって彼が持っていたと思われる意志や目的まで貶める必要は全くないでしょう。
批判すべきところはする、そうでないところはしないという区別さえして発言していれば、「呼応して何も考えてない若者が行」く心配もなくなるかと思いますが、いかがでしょう。
そらとうみさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
良くも悪くも、私たちはメディアから流される情報にどうしても影響されてしまいます。だから大変な事件な時ほど、違う視点からの情報を探すというのは、いまとても大事になっているのだと思います。
実際、意図されたかどうかは全くわかりませんが、自衛隊のイラク派遣期限切れを前に、派遣の是非が社会的に議論されなければいけないはずなのに、事件の最悪な結果を受けて『テロに屈するな』という、空虚なスローガンが再度強調され、大した検証も無いまま派遣延長が強行されようとしています。普通、事件を景気に議論をと思いますが、どうもそうならなさそうですし。
だからいまこそ、流される情報とはまた違う視点から物事を見るということが大事になっているのだと思います。
今後ともよろしくお願いします。
TBありがとうございました。
香田さんへの悪罵に反駁するのは、単に彼の名誉を守るためだけではなく、彼が求めようとしたもの、イラクの状況を知ろうとした心を守るためという意味があるのではないかと思います。
彼を非難する人々に、イラク人の命を大事に思う心があるのでしょうか?それは政府や自衛隊の仕事であって、自分たちは関知することではない、と思っているのでは?
関心がないから、知ろうとはしないから、素人は余計なことはするな!専門家(政府・自衛隊)に任せておけ!と言っているにすぎない、と私は感じます。ふつうの市民が個人としてできることは何か?なんて考えることは余計なことなんだ、というふうに聞こえます。
「迷惑」「迷惑」と語るひとは、具体的にそのひと個人にどんな迷惑がかかっているのでしょう。外務省に親しい友人がいて、そいつは夜も寝ずに働いている、可哀想だ、というのならまだしもですが。高潔にも政府の立場に成り代わって、あるいは税金の無駄遣いを許さないぞ!と日本国民を代表してくださって憤っているのでしょうか。勝手に代表されるのは余計なお世話です。
と、少し感情が入ったコメントになってしまいました。
すいません(笑)
主義者Yさん、こんにちは。
「アラブの声」というメーリングリストを購読しているのですが、そこで流されるイラク情勢というのは、日本のメディアで流される内容とはまったく違います。日本じゃ、まだ多国籍軍がイラクをおおむね支配しているみたいな報道がほとんどですが、地元イラクやアラブ系のメディアが流すニュースでは、「反占領勢力」(日本では「武装勢力」と書かれています)が、イラクの大半の町を取り戻し、米軍と多国籍軍を追い詰めている、という報道が中心です。
どちらがどこまで信用がおけるのかということもありますが、このようにまったく対照的な情報を見ると、「いったい何が本当なの」と思うし、できることなら行って確かめてみたいと思うときもあります。
それを実行した香田さんの意思と行動力は、やはりすごいです。ここを評価しないでどうするの?!と思うのですが、断片的な情報だけで、人格まで貶める「非難」をする人たちも少なくない。一歩引いて冷静に考えれば、「非難」など意味のないこととわかりそうなものなのに・・・
私の意見が地についているとは言いませんが、だからといってわざわざ「為政者の高み」に登ることもないと思ったりします。「その意見って誰のため?」こう言われたときに、ちゃんと答えられるようにしておきたいものです。
コメントありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
今回の事件、本当に残念に思います。
今年、日本人の方3名が誘拐された際に、人質の家族の方に、誹謗中傷が相次いだことを聞き、とても恐ろしく感じました。
私は現在、アメリカに住んでいますが、こちらの新聞や雑誌では、日本では考えられないような無残な写真を掲載することがあります。最近、イラク警察の新入りが、訓練から戻ってくる際にまとめて殺害された際、その死体の画像が新聞のトップを飾っていました。
また、アメリカ人、イギリス人が人質に取られ、惨殺に殺されている経緯も日本より詳しく報じられていました。
こんな中、私は今回の香田さんの事件発生発覚時に、最悪の事態になったと思いました。また、どうしてこんな時期にイラク入りをしたのか、と疑問に思いました。
ただ、色々な新聞やインターネットに掲載される記事を読んでいき、香田さんがイラク行きのバスに乗る際に極度に緊張していたこと、またアンマンのホテルの従業員にどうしても行くのか、と聞かれて「行かなければ行けない」、と答えたことなど、これは単なる自分探しの旅というよりも、使命感に燃えての行為だったように思えるのです。
聞けば、前から青年海外協力隊に入りたいと語っていたこと、イラクの戦争で罪のない人民が犠牲になっているのを許せない、とかたっていたこと。
残念なのは、イラクでも香田さんが日本人特有の「他人には迷惑をかけてはいけない。」という思いにとらわれていたことです。所持金が$20.00しかない、だからアンマン行きのタクシーには乗れない、というのではなく、バス会社の人がお金は貸すから。。と申し出てくれた時点で、その申し出を受けていれば。。。と残念でなりません。海外では、困っている人を助けるのはごく普通のことです。また、困っている人は、周囲の人に助けてもらうのもまた普通と思っている人々が多いのです。
香田さんの死はとても残念でしょうがないです。
現代の日本、世の中に無関心な青年が増えている中、戦争に問題意識を持って、自分の眼で見てみよう、と思った、その精神を十分に評価してあげればいいのではないでしょうか?
生きていれば、世の中のためになる仕事をしてくれたと確信しております。
安らかに永眠されますよう、心からご冥福をお祈りしています。
あっちゃんさん、コメントありがとうございます。
どういうことかは知りませんが、自分の考えていることとは違うことをする人間に対して脊髄反射的な非難を行う者が増えているように思います。そのことは本当にそうなのか、ちょっと考えて調べてみればわかりそうなものなのに残念なことです。評価するところはする。批判するところはする。そういう区別ぐらいしてほしいものです。
香田さんには生還して貴重な体験を持ち帰ってきてほしかったです。残念です。
ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
言い訳の変遷について
最初
・イラクのフセインがアルカイーダを支援していた
アルカイーダがこれを否定
・イラクは停戦合意を無視して大量殺戮兵器を保持している
どうも証拠が出てこない
・イラクは大量殺戮兵器を生産する意図があった
戦後処理が長引くと
・イラクの平和のためにイラク戦争は正しかった
退職して無職になったとき
・いろんなことがしたい
旅立つとき
・ニュージーランドかオーストラリアでホームステイがしたい
アンマンからイラクへ
・とりあえず戦争をこの目で見てみたい
一人は某国の大統領。一人は某国のバックパッカー。両者とも、馬鹿の代名詞として扱われることの多い人物ですが、
その状況、状況において、
自分を正当化する言い訳がころころ変わることが特徴です。
テキサスの田舎者で調子乗り。太鼓もちはネオコン。支えるはユダヤマネー。
彼のすべきこと。強いアメリカ。彼の公約。
24歳中卒無職。彼をあらわす7文字の言葉。
彼のすべきこと。労働・納税・教育を受けさせること。
日本国民の三大義務。
皮肉な話ですが、彼らは現実から逃げて行き着いた先が同じところだったのではないでしょうか。
ボランティアを語る報道も強盗も
ブッシュも証生も
そこに入るためならどんな言い訳もしますって。