萩と蜂蜜と自衛隊

 この3連休に、富士五湖に行ってきました。その時訪ねた、富士五湖の近辺に住んでいる知人から聞いた話です。

 毎年、その知人のところにはある養蜂家が訪れ、採れたばかりの蜂蜜を置いていきます(もちろん購入しています)。養蜂家というのは、蜂蜜の採れる花の開花時期にあわせて、春、夏、秋とにかけて、日本を南から北へ移動します。年中移動ばかりしています。
 その人が今年も北富士に蜂蜜を採りに来て、知人宅を訪ねてきたとき、「今年はいい蜂蜜が採れない」と愚痴をこぼしていたそうです。

 理由を聞くと、今年の夏は猛暑のため花の開花時期は例年に比べかなり早く、蜜蜂の活動のピークの前に花が満開を迎えてしまい、蜜蜂たちが「さあ蜜を集めるぞ」という体勢になったときは、もう花は終わりの時期を迎えている状態が続いたそうです。
 なかなか思うように蜜が集められないまま、夏に北富士にやってきたとき、そこではちょうど満開を迎えていた花がありました。それが萩の花でした。
 萩はいわゆる秋の花ですが、7月の猛暑のあと、少し気温が下がったことで秋になったと勘違いしたかもしれません。が、ようやくいい状態の花と出会え、さて蜜を集めるぞと張り切ったのもつかの間、その萩の花は一気になくなってしまったそうです。

 その萩の花は、自衛隊の北富士演習場内にありました。なくなったのは、自衛隊が刈り取ったからでした。イラクに新たに派遣する部隊の訓練のため、演習場内にイラクの砂漠と同じような地域をつくることが目的でした。

 萩の花が刈り取られて、訓練用の砂地が作られたこと。小さな出来事かもしれません。ただ、戦争に参加・遂行するために、その障害となりうるものはなんであろうと排除される。その縮図がここにもあった。そんな気がしました。
 小さな事だから気にしなくてもいい、という声が聞こえてきそうです。でも、小さな事が積み重ねられて、社会の状況がじわじわと作られていくとしたら・・・
 その話を聞いた体育の日。遠雷のような「どん」という音が朝から夕方まで続いていました。北富士演習場で自衛隊が射撃訓練を行っている音でした。

 さて。その養蜂家の人が「今年は出来が悪い」と言いながら知人に置いていった蜂蜜を、私も分けてもらいました。「富士百草」という手書きのラベルの張られた瓶2つ分です。花によって味が変わる蜂蜜。この蜂蜜はどんな味がするか楽しみです。

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コメント(2)

え???っ。
イラクでの活動の訓練のために、自国内を砂漠化すんの?
ばっかじゃないの? ばかだよ絶対。

自衛隊が砂漠用の迷彩服を作ったっていうとき、自国を守るという名目の自衛隊がなんで砂漠用迷彩なんだ!って、
問題に(ちょっとだけ)なったはずです。自衛隊も、おおっぴらにはできなかったはず。
それがいまは、擬似砂漠をつくるとこまできてんのかあ。
どこが自国を守るためなんだ。ふざけんな。
自国の自然を破壊してんじゃないの。
「愛国者」よ、これを放っておいていいのか、おいおい。
(乱文失礼)

 まきこさん、こんにちは。

 私もこの話を初めて聞いた時は、「なんじゃそりゃ、アホかいな」と思いました。多分この出来事は、軍隊という形態の組織ではおそらく日常の活動の範囲内なので、ニュースにもならないのでしょうが、こんなことが「あたりまえ」のように行われているのを聞くと、どうしても有事法制発動後の社会の姿を見るようで、気になって仕方ありません。

 社会が変わる時は、小さな事から始まっているといいます。ニュースにもならない小さな出来事の中にも、良くも悪くも変化のきざしはあるということですね。そういう点に気をつけなければと思わされた話でした。

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