私が住んでいる地元の駅頭に、毎月1回、民主党の地方議員(東京都議)が立ってビラを配っている。
主義主張の是非はともかく、きっちりと月1回自ら駅頭に立つその姿勢については評価できると思っているので、とにもかくにもその議員が配るビラは受け取ることにしている。結びつきをつくりづらい都市住民相手には、田舎以上に地道な取り組みが必要なだけに、正直よく続いているものだ、と感心している。
まあ、地道な活動は駅頭に立ちつづけることだけじゃないけどね。自分の生活している範囲で見える議員の活動が、いまのところこれくらいしかないからこう思ったわけで、実際にはみていないけど、地域で地道に動いている議員が他にも少なからずいることは知っている。
ところで先月の終わり近く、その議員が配っていたビラには、参議院選挙の結果について触れられていて、その中に気になる点があった。
それは「共産党、社民党は歴史的使命を終えたのではないか」という一文。
確かに、先の総選挙や今回の参院選の結果をみるかぎり、共産・社民両党はそう言われても仕方のない議席数になってしまった。
でも、国会の議席数だけで党の使命を判断するのはなんか基準としておかしくないか、と思うのだ。
日本に地域政党は少ないが、例えば沖縄社会大衆党などは、公認の国会議員はいなくなった(先の参院選で島袋氏が糸数氏=無所属=に交代)だが、沖縄の県議会や市町村議会で一定の議員数を持っていて活動している。国会の議席がなければなければ党の使命はない、ということにもならないだろう。
そう思って地方議員の政党別の勢力についてちょっと調べてみた。総務省サイトの選挙制度改革の「選挙関係資料」には、地方公共団体の議会の議員及び長の所属党派別人員調等について(15.12.31現在)というページがあって、概略だが党派別の地方議員数が掲載されている。
それによると、都道府県議会議員数では、自由民主党が第1党(1,413人、全定数の49.6%)で、以下無所属(715人、25.1%)、民主党(228人、8.0%)、公明党(205人、7.2%)、日本共産党(129人、4.5%)、社会民主党(74人、2.6%)の順となっている。
また市区町村議会議員となると、圧倒的多数は無所属(45,677人、80.7%)だが、次に来るのは日本共産党(4,011人、7.1%)で、以下公明党(3,192人、5.6%)、自由民主党(2,085人、3.7%)、民主党(728人、1.3%)、社会民主党(590人、1.0%)の順となっている。
都道府県といった規模の大きい議会では、国会の構成と同じようになるが、市町村のような小さい自治体となると、国会とはずいぶん違った構成になっているのが分かる。
まあ、市区町村では無所属といっても保守系がたぶん多数だからこれをどう評価するかは議論が分かれるかもしれないが、都道府県単位とか政令市など大きい自治体では、自民党や民主党は強いが、規模の小さい自治体では共産党が一定の地位を築いている。党の名前を背負った議員がそれだけ居るってことは、その地域での党や所属の個人への支持は一定あるということだろう。これをみるだけでも、国会の趨勢だけで、政党の使命をうんぬんすることは出来ないはずだ。
まあ、自民党や公明党は地方議会でも一定の勢力を持っているから、あれだけぼろくそに言われながらも、なんとか政権を持っている根拠の一つになっているのかもしれない。ひるがえって民主党は、市町村といったレベルでは自民党の3分の1という水準で、どうも「頭でっかち」の印象がぬぐえない。社民党が、かつての社会党時代に地方議員数は自民党に大きく水を開けられていたことを考えると、民主党は政権を取る根拠のひとつを欠いている状態とも言え、彼の党が訴える「政権交代」も単純にいかないのではないかとも思う。さらには、国会では小会派になってしまった共産党も、地方議会で一定の勢力をもっていることが、簡単には倒れない「強み」になっているのかもしれない。
国会だけが政治ではない。けっこう当たり前のことだが、ついつい忘れがちである。これからの政治を考える上で、地方の政治はどうなっているかという点にも注意を向けていく必要があるだろう。
追記(2004.8.5):文書上の間違いがあったので修正しました。(「政権を取る根拠のひとつを書いている状態」>「政権を取る根拠のひとつを欠いている状態」)
また、何が言いたいか不明な部分(「こういうことについても注意を向けていく必要があるだろう。」)があったので、一部修正(「地方の政治はどうなっているかという点にも注意を向けていく必要があるだろう。」)しました。
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