イラク戦争開戦から一年が過ぎた。
武力によるテロ封じ込め・抑止が効かないことが明白になった一年だっだと思うのは私だけだろうか。当初のイラク占領軍、特に米英軍へのテロ、というか抵抗は、やむどころかますます無差別的に拡散していて、民間人までを巻き込む自体になっている。ついにはイラク戦争に協力した国のひとつであるスペインで無差別テロが起こされてしまった。無差別テロを行う犯人は絶対的に許されない。が、一方で「テロとの戦い」を掲げている米英連合が、事態を悪化させるばかりでテロに関して成果らしい「成果」をまったく挙げていないのは、武力ではテロ問題はなにも解決できないことを雄弁に物語っている。
そんないつまでも成果の出ない、むしろ悪化させていて自国民を危機にさらすようになってきた政策を続けようとしていた政権をひっくり返したスペイン国民の選択は、結果のでない政策をとる政権など必要ないという意味で、至極当然である。
だいたい、テロ封じ込めを言いながら、相手にスペインのような無差別テロを起こさせる口実を与えたのはいったい誰か、ということについて、もっと考えなければいけない。いろいろな「理由」をこじつけてイラクに攻め込んでいったのは、アメリカとイギリスである。そしてそれは国際的には認められない行為となった(国連での支持が得られなかった)。国際的なコンセンサスを得られない不正な戦争に「抵抗する」という口実を、他ならぬアメリカとイギリスが与えてしまったのではないか。
それでもアメリカは、目に見える成果を出せばいいと言わんばかりにイラク対策にのめり込んでいったが、その結果は「テロと混乱」ばかり。発生するテロと「相殺」できるような「成果」は未だない。
嘆かわしいことにこの国の首相は「国民にテロと戦う覚悟ある」とさらっとのたまう。「世界と日本の安全のために」とアメリカのイラク侵略を支持したことが、自国民をテロの危険にさらす結果になったことについて、なんら思うことがないのだろう。「政策の間違いを自覚できない」政権は、然るべき時に取り替えるしかない。
はっきり言うが、いつ何処でどういう形で起こされるかわからないテロに対して戦う「覚悟」など、私にはない。そんな覚悟など無意味だし持ちたくもないし、そもそもそんな危険に対処する能力など持っていない。自分は安全なところに居ながら「政策の間違い」で自国民を危険にさらしている奴のために「覚悟」など持つ気は、一切ない。
だから、戦争に反対しつづける。特に「テロとの戦い」で始められる(た)戦争など、絶対認めない。
スペインのデモで掲げられたプラカードに書かれていた文がある。
「It's YOUR war,and it's our death.」(戦争を始めたのはあなたたちで、死ぬのは私たちだ)
私は、こんなウソで始められた戦争の巻き添えで死にたくないし、死ぬ人間も増やしたくないだけだ。
追記:自分たちの軍が間違って殺してしまった可能性も示唆されている奥大使の日記を使って、ブッシュ大統領がなんか言ったようだが、そんな見え透いた手法で戦争を正当化するな。というか、そんなことをさもありがたそうにニュースにするNHKもNHKだ。
米大統領 奥大使の日記を引用 from NHKニュース 2004.3.20